「クロムなめし」だったらフラスキーニ社でしょう |
アイソラはタンニンなめしの革が大好きで、イタリアのクラシックなオイルレザーや英国のパラフィンなど、世界中からすばらしいタンニンなめしの革を集めてきました。そしていろいろな革小物を作ってきたけれど、このところもっと繊細な、洗練された革を使って、アイソラの最高の職人技をふるったサイフを作ってみたいと思うようになりました。そうなると探す革はやっぱり、北イタリア作られるクロムなめしの革でしょう。
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その革はGUCCI、PRADA、TOD’Sなどに使われて高い評価を受けています。とくにベビーカーフやカーフスキンを使ったナッパタイプにその最高の技術をみることができます。革の表面にシボ(※注1)を立たせてナチュラル感をだす加工はほとんどの工場では機械を使っているけれど、フラスキーニ社はいまだに手もみでシボ立たせています。そんなところにこの会社のこだわりが感じられます。
以前アイソラは「フラスキーニ社」の革を使ったことがあったので、そのころの革屋さんを尋ねてみました。そこで久し振りに「クロムなめし」の革と出会い、「フラスキーニ社」の革の中でもトップグレードの革を触った瞬間に、「ウーン、これだ」と思わずオーダーしてしまいました。アイソラのオーダーした革は「パペーテ」といって、むかしだったらキップと呼ばれた半裁(※注2)で100デシ アップ(※注3)のカーフです。
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革を目の前に触りながらHIROと打合わせしていて、「アイソラはクラシックなラインを考えるから、HIROは昔の縫製を思い出してよ。そして昭和40年代を思い出させるサイフを作ってみようよ」と言って、ようやく形になってきました。最近はみんなブランドになっちゃったから、こういうラインって姿を消してしまったけれど、あのころは正統派とかいわれて、どんな売り場でも欠かせなかったサイフです。HIROの技術とパペーテの洗練された味がマッチして、ウーンまたいい革と出会ってしまいました。
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注1:「シボ」・・・革を揉んでその表面に生じるシワをいう
注2:「半裁」・・・牛の背中を二分したもの 注3:デシは革の大きさを表す単位。1デシは100平方センチのこと |