先日、壊れたやっとこの修理に行った。どんな業種もそうだけれど、職人さんは自分の使いやすいように市販の道具を改良する。
サイフの職人さんでいうと、革裁ち包丁を工夫したり、ネン用のコテを自作したり、ヘリ裁ち用の定規を工夫したり。
ぼくはイタリアの職場を知らないからハッキリとは言えないけれど、菊寄せなんていうガラパゴス的な技術もそんな過程から生まれたんじゃないかな。道具を使いやすいように改良するって、とても大事なことだと思うんです。 |
やっとこなんて基本中の基本の道具です。こんな基本さえできなくなってしまった日本の家内工業はもうダメでしょ。
大田区とか大阪で、「先端技術は町工場が支えている」なんて言って、さも町の家内工業を守らなければなんて論調があるけれど、その技術を支える基本の道具さえできなくなったんだから、未来は真っ暗です。ちょっと落ち込んだ出来事でした。 facebook記事 久野 康一 |